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多様性を生かすには「属性」だけでなく、「価値観」と「スキル」の多様性とかけあわせることが効果的だ=加藤拓巳・明治大准教授提供

 多様な人材を生かす経営には、ジェンダーや国籍・人種、年齢といった「属性」ばかりでなく、目には見えにくい「価値観」や「スキル」の多様性と組み合わせることが効果的――。そんな分析結果を、明治大の加藤拓巳准教授(経営学)らの研究チームが3千人を対象にした調査で明らかにし、人文・社会科学分野の専門誌に発表した。

 属性と一緒に価値観やスキルの多様性も高めることで、従業員の仕事の意義づけや組織への帰属意識にプラスの影響を与えていた。属性の多様性だけ高めても、明確な効果が見られなかったという。

 多様な人材を生かして組織のパフォーマンスを高める「ダイバーシティー経営」に力を入れる企業は日本でも増えている。一方で米トランプ政権のように、DEI(多様性・公平性・包摂性)活動のビジネスへの貢献や組織への好影響については懐疑的な見方もある。多様な属性の人たちが創造的な視点やアイデアを生み出す一方、言語や文化の違いで共通理解や合意形成に時間がかかるといったことが指摘されている。

 そこで研究チームは、DEIの推進が従業員にもたらす影響を調べようと、IT企業パナソニックコネクトの社員ら3千人にアンケートを実施した。

 質問は35項目。組織への帰属意識▽仕事の意義▽疲れ・ストレス▽パーパス(組織の存在意義・目的)▽担当している商品・サービス▽性別・年齢・人種といった属性と価値観、スキルの多様性について1~5点で評価してもらい、関連を分析した。スキルの多様性は、経営戦略や営業、商品企画といった専門能力の違いを指す。

 その結果、属性に価値観やスキルの多様性を組み合わせることで、仕事の意義や組織への帰属意識にプラスの影響を与えることがわかった。属性の多様性だけでは影響は見られなかった。

 パーパスや担当する商品・サ…

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